不動産売買の税金の基礎| 不動産の大家さんは知っておきましょう

不動産業界の活況

こんにちは。東京都日野市の女性税理士 坂 有希子です。

先日、公示地価の発表がありましたね。大都市圏では上昇の状況が続いています。
アベノミクスの成果が少しずつ出てきているのかは定かではありませんが、企業の労使交渉で2年連続の大幅なベースアップについても伝えられています。

このような中、不動産業界が活況になってきていることはご存じでしょうか?

東京では、もはや買える物件がないようで、地方の物件を求めて投資家の方々が動きを見せています。

不動産の大家さんにとっては、またとないチャンスではないかと思います。
ご自分の物件のキャッシュフローを見直し、不採算な物件はこの機に思い切って処分をする。
そういう選択が可能な時期なのだと思われます。

相続税対策も大事ですが、それだけでは将来行き詰ることもあります。結局事業としてうまくいかなければ、将来どこかの段階で不動産を不本意に処分することにもなりかねません。

不動産賃貸事業にとって大事なのは、キャッシュフローの改善です。そのための前向きな売却も視野に入れておきたいですよね。

今日は不動産の譲渡にかかる税金について、基本的なことを書きたいと思います。
ご自分でシミュレーションをする際に、税金の部分は避けて通れません。
基本的なことを押さえて、まず考えてみる。難しければ専門家の手を借りてもいいかもしれません。
専門家に相談する場合にも、ある程度、ご自分で知っておかなければいけませんよね。

不動産を売却するときの税金について

不動産の売却による利益はどのように申告するか

不動産の売却によって利益が生じた場合には、確定申告をすることにより申告をします。
つまり、今年の1月1日から12月31日までの売却に係る利益については、来年の3月15日までに確定申告書を税務署に提出します。

その際に、売却による利益は「譲渡所得」として、必要な申告書の記載をします。
譲渡所得は分離課税という方式をとっており、ほかの事業所得や給与所得などとの合算をして税金を計算するわけではありません。あくまでも譲渡所得に税率を乗じることにより税金が計算されます(詳細は後述)。

もし、売却によって損失が出たとしても、この損失は事業所得や給与所得などと損益通算はできません。

譲渡所得の税率は

保有期間を確定する

譲渡所得の税率は、その不動産を長期で保有しているか、短期で保有しているかによって異なってきます。

長期か短期かという区別は、5年です。この5年という区分はその年の1月1日を基準として考えます。
今年は平成27年ですので、平成27年1月1日時点で5年間保有していれば長期保有。そうでなければ短期保有ということになります。

今年であれば、平成22年1月1日以前に取得した物件であれば、長期保有ということになります。

ここで、もし相続により物件を取得していた場合であれば、被相続人の取得時期を引き継ぐことになりますので、たとえ相続が平成22年1月1日以後であったとしても、長期保有の要件は満たされることになります。

税率

長期保有の場合には、所得税15.315%(復興所得税含む)、住民税5%となります。

一方、短期保有の場合には、所得税30.63%(復興所得税含む)、住民税9%となります。

譲渡所得の算出方法

譲渡所得=譲渡収入-(取得費+譲渡費用)

で計算されます。

取得費の算出方法

建物

取得した時の取得原価から売却時点までの減価償却費を差し引いて計算します。不動産の大家さんであれば、例年の確定申告の際に、固定資産の明細を作っていると思いますので、そちらを見ながら算定できます。

土地

土地は取得原価がわかればいいのですが、例えばご先祖様から引き継いだ土地だという場合など、わからない場合が多いかと思います。

その場合には、「土地の売却代金×5%」の概算取得費により計算を行います。

また、もし取得原価がわかったとしても、上記の概算取得費のほうが高い場合には、概算取得費を使うことも差し支えありません(利益を圧縮するためには、少しでも取得費が高い方が有利です)。

譲渡費用の範囲

譲渡費用に含まれるものは以下のものです。

  • 仲介手数料
  • 印紙税(契約の際に必要なものです)
  • 古い建物を解体したり、撤去するための費用
  • 立ち退き料
  • 測量費
  • 売却取引のために要した旅費交通費

ここで、抵当権の抹消登記費用、固定資産税、そのほかの資産の維持管理に必要とされるような費用は譲渡費用には含まれません。

売却収入

売却収入については、不動産の時価を著しく下回らないように注意する必要があります。「著しく」とは、不動産の時価の2分の1を下回るというのがひとつの目安です。ですが、不動産大家の方は、できるだけ高く売ろうと考えているはずですので、あまりこの点は気にしなくてよいと思われます。

契約を締結する際に気をつけておきたいのが、土地と建物の売却価格を明確にしておくということです。

さきほども述べましたが、土地の取得費は建物の売却価格に5%を乗じた概算取得費により算定することが想定されます。なので、きちんと土地の売却価格が契約書に記載されていなければ、あとで困ってしまいます。

基本的に売却の交渉の際には、土地と建物の一括の売却価格で「いくら」という交渉をします。
それはいいのですが、契約書を取り交わす段階では、きちんと土地の売却価額、建物の売却価額を銘記するように詰めておきましょう。

その際、建物価額と土地価額をどのように按分するかということについては、あまり明確な規定はありません。国税庁のタックスアンサー(一般的な税金の質問に回答しているコーナーのこと)では、以下のような基準で按分するように記載されています。

  1.  譲渡時における土地及び建物のそれぞれの時価の比率による按分
  2.  相続税評価額や固定資産税評価額を基にした按分
  3.  土地、建物の原価(取得費、造成費、一般管理費・販売費、支払利子等を含みます。)を基にした按分

確定申告の際に、税務署に突っ込まれることのないように契約段階できちんとしておくことが大事だと思われます。

税金金額の算定

譲渡所得にかかる税金=譲渡所得×税率

譲渡所得の算定及び税率については上記を参照してみてください。

売却収入から税金金額まで差し引いて残るキャッシュがあるならば、売却の検討をしてみてもいいのではないでしょうか?

ではまた。

坂 有希子会計事務所「業務案内」はこちら

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