個人事業の仕訳に欠かせない「事業主貸」「事業主借」について

個人事業主にとって忙しい季節がやってきた

こんにちは。
年が明けて、いよいよ確定申告が近づいてきました。
特に忙しいわけでもないのに、心ばかり焦ってしまう毎日です。

税理士にとっては、これから忙しい季節になりますので、とりあえず自分の分の確定申告の準備をしようと思い、溜まっていた領収書の整理を始めました。
私はまだ開業したてですし、前々から少しずつやるようにしていたので、それほど苦もなく終わりましたが、個人事業主のみなさんの中には、一年分の領収書をため込んでいたりする方もいるのではないでしょうか?

帳簿をご自分で付けていらっしゃる方もいるでしょう。

個人事業主の帳簿付けの際に行う仕訳の中で、特殊だと思うのが、「事業主貸」「事業主借」「元入金」です。

特に難しいわけではないので、一度わかってしまえば、スムーズに仕訳ができると思います。
今日は少しこれらについて考えてみます。

事業主貸、事業主借とは何か

個人事業の経理で使用する「事業主勘定」とは、“「個人事業主である本人」と「一個人である本人(プライベート)」との間でお金のやりとりが発生した場合”に使用する勘定科目です。

個人事業では、事業と生活が混在してしまいがちです。事業用の口座から生活資金を引き出すこともあるでしょうし、プライベートな口座や現金から事業用の経費の支払をすることもあるでしょう。また、事業用の現金や事業用の預金口座自体を設けていない場合もあります。このような事業と生活の資金が混在する場合に処理する勘定として、「事業主貸」「事業主借」を使います。

以下の例で考えてみましょう。

(例1)事業用の消耗品1,000円を購入し、プライベートの口座から振り込んだ。

仕訳:(借)消耗品費 1,000円 (貸)事業主借 1,000円

となります。事業用の経費をプライベートな口座から借りたというイメージですね。

(例2) 事業用の口座から生活費として50,000円引き出した。

仕訳:(借)事業主貸 50,000円 (貸)普通預金 50,000円

となります。事業用の資金をプライベートな自分に貸し付けたというイメージです。

所得税・住民税の支払いの仕訳処理

所得税や住民税の支払いについて、どう仕訳するのか説明します。

仮にプライベートな口座と事業用の口座を持っていたとします。

① プライベートな口座から税金の支払をいをした場合
→仕訳処理なしとなります。

なぜなら、税金の支払いはあくまでも一個人が行うものであり、事業主として事業から行うものではないからです。したがって、プライベートな口座から税金の支払いを行う場合には、特に記帳は必要ありません。

② 事業用の口座から税金の支払いをした場合
→仕訳処理が必要となります。

(例1) 所得税120,000円の納付を事業用の口座から行った。
(借)事業主貸 120,000円 (貸)普通預金 120,000円

(例2) 事業主の個人住民税20,900円の納付を事業用の口座から行った。
(借)事業主貸 20,900円 (貸)普通預金 20,900円

青色申告をする人ができる家計と事業の按分仕訳

個人事業主で青色申告をする人は、車関係の費用、持ち家の固定資産税、光熱費などの費用のうち、事業に要した部分を経費として計上することができます。

青色申告の特典についてはこちら

生活にどれくらい使用して、事業にどれくらい使用したかという按分割合については、合理的な割合を自分で定めます。
走行距離や使用時間、床面積などに基づき、他人に説明できるような割合を定めておきましょう。

ここでは、仕訳についてみていきます。

例で考えましょう。

①電気代100,000円につき、事業と家計の割合は3:2である(電気代は事業用の預金から支出)。

(借) 水道光熱費 100,000円 (貸)普通預金 100,000円
(借) 事業主貸   40,000円  (貸)水道光熱費 40,000円

②電気代100,000円につき、事業と家計の割合は3:2である(電気代は家計用の預金から支出)。
(借)水道光熱費 60,0000円(貸)事業主借 60,000円

このように、事業用の口座から支出する場合と家計用の口座から支出する場合で、仕訳が異なることになります。

青色申告決算書の貸借対照表作成の注意点

イメージ図③

期中の帳簿が無事につけ終わったら、いよいよ確定申告です。
そのときには、青色申告決算書(損益計算書)と貸借対照表の作成をします。

ここでわかりにくいのが、貸借対照表の前期の「元入金」の金額です。
当期の「事業主貸」と「事業主借」の欄は数値を埋めることができますが、前期の「事業主貸」「事業主借」の欄は斜線が引いてあるので、数値を記載することはできません。

会計ソフトを使って仕訳を行い、貸借対照表を作成している場合には、何も考えなくても自動的にできるのですが、手書きの場合には自分でこの欄を埋める必要があります。

前期の元入金は以下の仕訳を行うことで求められます。

前期の帳簿上の数値が以下の通りだったします(数値に意味はないので、ご自分の帳簿を見てください)。

事業主貸 45,000円
事業主借 189,000円
元入金 300,000円

このとき、以下の仕訳を行い、事業主貸と事業主借をゼロにするように仕訳を行います。
(この仕訳は本来は、期首の段階で行うことが望ましいです)

(借)元入金   45,000円 (貸)事業主貸 45,000円
(借)事業主借    189,000円 (貸)元入金 189,000円

すると、元入金の金額は、300,000円-45,000円+189,000円=444,000円 となります。
(元入金は貸方項目ですので、借方に仕訳した45,000円はマイナスします)

したがって、貸借対照表の前期の元入金の金額は444,000円と記載することになります。
(イメージで貼っている画像とは違いますがご了承ください)

ここは個人事業主の方にわからないと言われたことがあったので、説明しました。

参考になれば嬉しいです。

ではまた。

坂有希子会計事務所「業務内容」はこちらから

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