間違いなく今年一番の本!|十五の夏

普段とは違う都会の本屋

先日、クライアントとの約束の時間を大幅に間違えてしまい、新宿で時間を潰すことになってしまいました(14時から約束なのに、11時と勘違いしていました)。

普段できない買い物をして、昼食を食べたあと、まだ時間をもてあましているので、紀伊国屋書店に入りブラブラすることに。
都会の本屋さんは、普段私が行く地元の本屋さんとは違い、品揃えも多いし、平置きしている本も多彩です。

私が普段行く本屋はファミリー層がターゲットなので、平置きしてパワープッシュしている本は所謂売れ筋の本ばかりです。
正直おもしろい本がほとんどないので、本はamazonで買うことにしています。

でも紀伊国屋書店はさすがです。

普段目にしない本が沢山積んであります。ビジネスマンや学生さんなどいろんな人が行き交う都会だからこそでしょう。

ノンフィクションのコーナーで、ふと目にとまったのが、

「十五の夏(上)、(下)」佐藤優著 です。

まず表紙に目を奪われました。

佐藤優さんといえば、言わずと知れた知の巨人。
元外務省主任分析官で、2002年に北方領土関係の事案で背任等の容疑で逮捕起訴され、2009年に上告棄却で執行猶予が確定したという異色の経歴の持ち主です。

少し強面で(失礼)、折れない人という印象の方です。

その方の昔の写真が表紙を飾っています(高校1年生)。なんとも賢そうでかわいらしい男の子です。
そして、その写真が何とも言えず色あせていて、目を引くのです。

佐藤優さんが、浦和高校に入学した高校1年生の夏休みに東欧やソ連を一人旅してきた旅行記であるようです。
こんなおもしろそうな本を買わずにはいられません。

知の巨人の心の旅

佐藤優さんの著書を読むのは初めてです。知の巨人と言われている佐藤優さんは以前から存じていましたが、正直怖そうな人という印象でした。また、彼の書く文章は難しくて、読みづらいのだろうと勝手な想像をしていました。

けれど、この本を読んで数ページで、佐藤さんの文章のうまさに引き込まれました。

難しい言葉はどこにもありません。すんなりと言葉から入ってくるのです。
本当に頭のいい人なのだなと思いました。

高校1年生の佐藤優さんは、エジプト航空で以下の行程を旅します。

カイロ空港→チューリッヒ(スイス)→シャフハウゼン(スイス)→シュツットガルト(ドイツ)→ミュンヘン(ドイツ)→プラハ(チェコスロバキア)→ワルシャワ(ポーランド)→ブタペシュト(ハンガリー)→ブカレスト(ルーマニア)→キエフ(今のウクライナ)→モスクワ(今のロシア)→サマルカンド(今のウズベキスタン)→ブハラ(今のウズベキスタン)→タシケント(今のウズベキスタン)→ハバロフスク(今のロシア)→ナホトカ(今のロシア)→横浜(船で帰国)

1975年にその行程を高校1年生の男の子が一人で旅することがどれだけ大変か。
想像を絶する旅です。

おそらくこの旅が知の巨人を作りあげるきっかけとなったのでしょう。

とにかく圧巻の旅です。
15歳の少年と共に自分も旅している気分になれます。
少年が色んな人と会い、色んなことを吸収していくごとに、それが自分自身の体験となるような気がしてくるのです。
本当に素晴らしい本です。上下巻合わせて800ページを超える作品になっていますが、まったく退屈することなく楽しく読みました。ページが残り少なくなってきて、旅も終わりに近づくのが、本当に残念でたまりませんでした。

この本を通して一貫しているテーマ

この本を読んでいると一貫して次のような言葉が出てきます。

「この旅は君の人生を大きく変えるものになる。」

出会う人が口々に佐藤少年に言うのです。

1975年に15歳の少年が旅をしているなんて、否定的に見る人もいるでしょう。
必ずしも出会う人全員に肯定的な言葉をかけられたとは思いません。

でも、佐藤優さんは、本の中で登場人物の口を借りて、何度も何度も繰り返しこの言葉を出してくるのです。

これは佐藤さんからのメッセージなのでしょう。

若い頃に自分の価値観とは異なる世界を見る。

このことが後の人生で大きな意味がある。

こんなことを私たちに伝えたいのだなあと感じました。

私には小学校3年生の息子がいます。

今はまだ無理だけれど、もう少し息子が大きくなったら、この本を読ませたいです(読んでくれるかわかりませんが)。

15歳の息子を1975年の社会主義の東欧・ソ連へ旅へ出せるご両親はすごいです。
今の自分にはまだその度量はないけれど、子供を信頼して旅に出せる親になりたいなとも思いました。

絶対におススメの本です。

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