NPO法人を始めた人が悩む事業の収益性判断と部門別会計

なんでもそうだが初めは困難が多い

こんにちは。

NPO法人の運営を始める方は多くなってきてきます。
NPO法人の活動は、社会的な意義のある活動が多いです。決して「営利」を重視する活動ではないので、世間の人からなんとなく軽視されてしまう部分もありますが、このような活動を応援していくことは、私たち専門家にとって大事な使命だと思っています。

株式会社を始める場合でも、NPO法人を始める場合でも、はたまた個人事業であっても、起業の第一歩というのは、わからないことが多くて苦しいものですよね。

ただ、株式会社や個人事業の場合であれば、事業から稼ぎ出されたものに課税されていくというのは当たり前なので、悩むことはあまりありません。

しかし、NPO法人であれば、自分たちが営んでいる事業の利益に対して税金がかかってくるのかどうなのかということを悩まなくてはなりません。

ここが通常の法人とは違って難しいところです。

収益性の判断は難しい

NPO法人を設立する際に、事業の内容を届け出て、自治体より認証がなされます。
その事業のことを「特定非営利活動に係る事業」といいます。

NPO法人はそれ以外の事業を営んではいけないというわけではなく、通常はいくつかの事業を営みます。それを「その他の事業」といいます。

現在の法律(税法)では、特定非営利活動に係る事業だから課税対象外の事業、その他の事業は課税事業ということにはなっていません。

法人税法で規定されている34事業(特掲事業といいます)に該当すれば、特定非営利活動に係る事業であっても、その他の事業であっても課税対象となる可能性があります。

ちなみに、法人税法で規定されている34業種というのは、以下ものです。

  1. 物品販売業
  2. 不動産販売業
  3. 金銭貸付業
  4. 物品貸付業
  5. 不動産貸付業
  6. 製造業
  7. 通信業
  8. 運送業
  9. 倉庫業
  10. 請負業
  11. 印刷業
  12. 出版業
  13. 写真業
  14. 席貸業
  15. 旅館業
  16. 料理店業その他の飲食店業
  17. 斡旋行
  18. 代理業
  19. 仲立業
  20. 問屋業
  21. 鉱業
  22. 土石採取業
  23. 浴場業
  24. 理容業
  25. 美容業
  26. 興行業
  27. 遊技所業
  28. 遊覧所業
  29. 医療保険業
  30. 技芸教授業
  31. 駐車場業
  32. 信用保証業
  33. 無体財産権提供業
  34. 労働者派遣業

NPO法人を始めるにあたり、自分がやろうとしている事業がいくつかあるとしたら、その一つ一つに対して、法人税法上の収益事業(課税対象となる事業)にあたるかどうかの判定をしていかなくてはなりません。

この判定をする場合、34事業の特掲事業に該当したとしても、直ちに収益事業に該当するわけではなく、法人税施行令や法人税基本通達に規定されているような特別な内容の事業であれば、収益事業として判定しないこととされます(政策的配慮から特掲事業の例外が定められています)。

さらに、上記においてなお収益事業と判定された場合でも、その事業に従事する身体障害者、生活扶助者、知的障害者、精神障害者、65歳以上の者、寡婦等が従事者総数の半数以上を占め、かつ、その事業がこれからの者の生活の保護に寄与している事業であれば、収益事業としなくてもよいとされる道が用意されています(社会福祉に寄与することを配慮しています)。

上記を図にまとめると、以下のようになります。

NPO法人収益事業か否かの判定

帳簿をつけていくうえで大事なこと

上述した通り、まずは事業が収益事業なのかどうかを判断することが不可欠です。

それはすごく難しい問題であって、正直、公認会計士や税理士であったとしてもすぐに判断できないことも多いかと思います。その場合は税務署に相談に行くなどの対応が必要となってきます(なので、解決するのに時間がかかる場合もあるので、早めに行っておく必要があります)。

次に出てくる問題は、帳簿付け(会計)をどうやって行っていくかです。

いくつかの事業をやっているNPO法人の場合には、各事業ごとに損益を集計する「部門別の会計」を行うこととなります。
なぜかというと、理由は二つあります。

①活動計算書の開示において、特定非営利目的の事業とそれ以外を分けて記載する必要があることと、注記において、部門別の損益の状況を開示しなくてはならないという開示上の理由。

②仮にいくつか営む事業の中で収益事業があれば、その収益事業から稼ぎ出された利益(あるいは損失)について、法人税の申告書を作成し、提出するという税務申告上の理由(収益事業を単独できちんと集計しておかなくては税務申告ができない)。

このようなふたつの理由から部門別の会計を行っておかなければ、いざ決算を迎えたときに、とても困ることとなるのです。

おそらく、NPO法人を運営していらっしゃる方は、何かしらの会計ソフトを購入されている、あるいは購入の検討をされているでしょう。

私がNPOで使用している会計ソフトは弥生会計ですが、最近ではfreeeなどでもNPO法人パックというものをリリースしたようなので、そちらも使えるでしょう。

部門別会計と言われてもよくわからないという方も多いかと思います。

会計ソフト上である程度最初に設定して、ちょっと慣れればなんていうこともないのですが、やはりハードルはそれなりにあるかと思います。本当に最初は大変です。

何かお役に立てることがあれば、お声をおかけください。

ではまた。

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